「…あの時?」

パッと彼に身体を離された私の姿を彼はじっと見つめるもすぐ、何もかも忘れてしまったかのように不思議そうな顔を浮かべた。

あまりの忘れっぷりに私は動揺を隠せず、もしかしたら…、私の人違いかもしれないという考えが頭を横切る。

そう思うと途端に恥ずかしさに襲われ

「あっ、何でもありません!助けてくれ

てありがとうございました!!」

それだけ伝えて思いっきり彼の前からにげてきてしまった。

登校してきて早々、息を切らしていた私にもう学校に着いていた穂花は新しく出来た友達グループから抜けてくると私に話しかけてくれた。

「おはよ〜、息きれてるけどどうした?」

「おはよう。さっきのグループの子達はいいの?」

「いいの!いいの!」

穂花はいつどこにいてもすぐ私と一緒にいてくれる…。

嬉しいけど時々、申し訳なく思う時もあるけど、私も彼女といられて嬉しいから申し訳なく思いながらも今朝のことを話すことにした。