「行ってきます!」

「行ってらっしゃい、気をつけてね。」

エプロンに身を包んだお母さんと玄関先で話すなり私は、家から出た。

お父さんも、お母さんも共働きの家に一人っ子として生まれた私は小さい頃、親がいなくてもちゃんと生活していけるように家事、洗濯、料理、買い物全てを教えこまれていたから両親と顔を合わせるのは朝だけでその他はほとんど2人とは話したことがなかった。

まぁ、今はもう寂しくはないからいいけど…。

そんなことを考えながら最寄り駅のホームへと立った私は普段乗っている時間帯とは違いこの時間の電車内の満員っぷりに目を見開いた。

こっこれに、乗るの?!!

どう見たって乗っている人達はぎゅうぎゅうに押しあっていて女子の私なんか入ろうもんなら今にも潰されるんじゃないかってくらいだった…。

それでも乗らないことには入学して初日に遅刻することなることから気が滅入る中、意を決してそのギュウギュウな電車へと飛び乗った。