父の言の葉は僕に突き刺さる

「離婚するかもだから。」

心境とか、聞かれてもわからない。

どう思ってる?とか言われたって。

正解なんてないのに正解を求めてる。

何事もなく、円満に大団円で終わらせられる方法。
それが、僕の言う「答え」。

でも、それがわからなくて
「別に。どうも思ってない。」なんて
思ってないこと言った。

違う、そうじゃない。でも、思いの伝え方なんて知らない。

知っているけど、そうじゃなくて。
本音を言うのが怖い。

それで、嫌われたら…?

僕は、どうなる?いらない子?
面倒な子?大人の目線を気にして常に過ごす。

離婚のたった二文字が思考を停止させてく。

今までみたいにはいかないの?
もっと母さんと一緒にいたい。
父さんの作った美味しいご飯が食べたい。

母さんはとても優しくて。たまに怖いけど、それは僕を
思ってるからって知ってる。

父さんはぶっきらぼうで僕と同じで本音をあまり
吐かない人だけど父さんの作る料理はいつも
あったかい味がした。優しい味。

最近、喧嘩が増えてるなって思ってた。
聞こえてないと思ってた?気付いてるよ。
こっそり、怖いもの見たさで聞いてたんだ。
聞いてて怖くなった。僕はどうなるの?って。

2人は互いに親バカで、父さんはそれを認めようとはしなかったね。

だから、本音を言ったらきっと僕の主張を聞いて
それで決めてくれるんでしょ?

でも、僕は2人にも幸せでいて欲しいんだ。

親の心子知らず、なんていうけれど、親だって
子供の心を知らないでしょ?

心底、怖い。離れることが怖い。
母親はよく仕事仲間と泊まりに出かけるようになった。
父親も遅く帰ってくる。

1人、いつ、誰が帰るのかも分からずに孤独な寂しい
家で誰かの帰りを待つ。

その時、僕は嬉嬉としてネットをしているけれど
それはきっと、現実から目を背けたくて。
ずっと、僕らを裏切る事ないハッピーエンドも
バッドエンドも自由に決められる世界は
とても、心地よく映るんだろう。僕の目には。

エンドを知っているから、安心して見れるんだ。
でも、はっきりとしない終わりは嫌だ。
サスペンスはだから嫌い。
勝ち負けで決まるゲームで負け続ける方がまだマシだ。

よく、2人の本音を聞きたくて狸寝入りをするけど
父さんが僕の枕元で呟いた。

「もう、会えなくなるかも」

だなんて。

やめて。冗談でもそんな事を言わないで。
そうやって、叫びたかった。
でも、無理だよ。そんな勇気が無いんだ。

ひよってるよ。そうだよ。怖いよ。

好きな子に両親が離婚するかもしれないことを言った。
その子にしかこの事は言ってない。
君に会いたい。今、猛烈に。

助けて話だけでも聞いて
聞くだけでもいいからって伝えたい。

君と会えなくなったら僕は壊れちゃうね。きっと。

君にだけ、だ。大好きな君だけだ。

僕を助けて。

強がりで、でも実は弱虫で甘えたな僕を。

君が恋しくて、羨ましい。
家族と喧嘩出来て、笑いあえてる君が。

思えばあなたも少しぶっきらぼうだね。
笑った顔が最高に眩しいけれど。
そこだけは父親とは違うや。
父さんは笑うってことをテレビでしかしないから。
あと、会社の人と喋ってる時くらい。

でも、そんな父さんが僕は好きだし
そんな君が僕は好き。

もちろん、2人とも違う意味で。
何となく似ていたのに気付いて重ねてしまったけれど。

ねぇ。

君に会いたい。

(2018/03/31)