「誉さんと直樹さんも、一緒に食べましょうよ！」

沙夜香は後ろに立っていた2人に声をかけた。

「執務中でございますので後で頂きます。」
「俺達の事は気にしないで。」

誉と直樹はやんわりとその提案を断った。
しかし、沙夜香は諦めなかった。

「駄目よ。これは命令。私が小さかった頃から決めてたの。大きくなって専属を雇うようになったら一緒に食事をするって。だって大きなテーブルに1人じゃ寂しいじゃない？」

命令だと言われると聞かないわけにはいかない。

「……かしこまりました。では、お言葉に甘えて。」

「でもいいの？俺達と一緒で。」

「むしろ大歓迎よ！」

結局、これからの食事は出来る限り3人で食べる約束をした。

「沙夜香様、この後はいかがなさいますか？」

デザートも食べ終わった頃、直樹が沙夜香に尋ねた。

「今日は早めに寝るわ。最近、体調が良くないみたいで。」

「かしこまりました。では、おやすみなさいませ。」

「おやすみなさい。」

自分の部屋でお風呂に入る。
入浴剤の入ったお湯はピンク色だった。
そろそろ桜の季節。
待ちに待った高校生活が始まろうとしていた。