(ん…)

いい香りがして目が覚めた。

辺りを見回すと、沙夜香は自分が見慣れた部屋のベッドに普段着のままで寝ていることに気がついた。

(そっか…私、また発作で…)

倒れる直前に見たペンダントを思い出す。

また頭の奥がズキズキと痛みだした。

(あのペンダント。私どこかで見た気がする……)

頭の痛みが増してきたところで、部屋の扉が開いて直樹が入ってきた。

「お目覚めでしたか。」

扉を開けたまま、直樹は沙夜香の方に近付いてくる。

「お加減いかがでございますか?」

私と目線を合わせるようにしゃがみ、具合を尋ねる。

「ありがとう。もう大丈夫よ。迷惑かけてごめんなさい。」

「迷惑なんて滅相もございません。いつでも頼ってください。」

優しくそっと微笑む直樹さん。

優しく手を包んでくれて、とても落ち着いた気分になった。

「おーい!昼食飛んでしまったけど、夕食食べないか?」

部屋の扉からひょこっと顔を出して誉が尋ねる。
時刻は18:00ちょっと過ぎ。寝ていたとは言え、お腹は空いてくる。
沙夜香はベッドから飛び起きた。

「食べる!お腹すいちゃった。」

沙夜香は誉の後に続いてキッチンに駆け込んで行く。
直樹も後に続いて、テーブルの準備に取りかかった。

今日のメニューはイタリアン。
テーブルに並んだ料理の盛り付けはとても繊細で、沙夜香の食欲を誘った。

「美味しそう…!」

そう言ってフォークを手に取った沙夜香の動きが止まった。