俺は誉と、沙夜香を部屋へ運び、ベッドに寝かせた。

落ち着いた寝息に少し安心した。

そうだ。何も変わっていない。12年前と。
発作だって、変わっていなかった。

「俺はずっと苦しめてた。12年間も。」

俺が小さく吐き捨てた言葉に誉は首を横に振った。

「違う。沙夜香ちゃんはずっと思い出そうとしてんだ。お前のくれた時間を。」

「だけど!俺が来たことでもっと発作が酷くなったら!?もう、これ以上俺は耐えられない…」

冷たくなった沙夜香の手を握って俺は尋ねた。

「さやちゃん。俺はどうしたらいい?」