直樹はそれを聞いて思い出したように、病室の扉を開けて誰かから花束を受け取った。
「今の誰?」
「俺の家の執事だよ。」
「執事服を着ているのに執事がいるのね。」
沙夜香は可笑しそうに笑った。
「さやちゃん、遅くなったけど誕生日プレゼント。」
13年前と同じ花束。真っ赤な薔薇の中に1輪だけ白い薔薇。
「遅いよ。」
沙夜香は目に涙を溜めて笑った。そして、その花束から赤い薔薇を1本抜き取って直樹に渡した。
「直樹お兄ちゃん、私からの返事。赤い薔薇の花言葉知ってる?」
直樹は少し驚いてそれを受け取った。
「『あなたを愛します。』」
沙夜香が笑うと直樹は頭を撫でた。
「もう離さないから。早く良くなって。」
直樹は静かに口付けて病室を出ていった。
入れ違いに点滴の交換にきた看護師さんがサイドテーブルに置かれた薔薇に気がついた。
「立派な花束ですね。」
そうでしょう?と得意げに看護師の人を見て、驚いた。
「あなた、13年前にもこの病院で私の世話をしてくれていたよね?」
「はい。覚えていただいていたなんて嬉しいです。」
「その時に私の隣の病室にいたお兄ちゃんから貰ったのよ。」
「久我様、でしたか?」
それを聞いて安心した。やっぱりあの時のお兄ちゃんは直樹さんで、今も変わらず優しくしてくれて。
「そうよ。」
私は力いっぱいに笑って見せた。私の自慢のお兄ちゃんで、婚約者。
(早くよくならなきゃ…)
沙夜香は布団を深く被りこんで眠りについた。
「今の誰?」
「俺の家の執事だよ。」
「執事服を着ているのに執事がいるのね。」
沙夜香は可笑しそうに笑った。
「さやちゃん、遅くなったけど誕生日プレゼント。」
13年前と同じ花束。真っ赤な薔薇の中に1輪だけ白い薔薇。
「遅いよ。」
沙夜香は目に涙を溜めて笑った。そして、その花束から赤い薔薇を1本抜き取って直樹に渡した。
「直樹お兄ちゃん、私からの返事。赤い薔薇の花言葉知ってる?」
直樹は少し驚いてそれを受け取った。
「『あなたを愛します。』」
沙夜香が笑うと直樹は頭を撫でた。
「もう離さないから。早く良くなって。」
直樹は静かに口付けて病室を出ていった。
入れ違いに点滴の交換にきた看護師さんがサイドテーブルに置かれた薔薇に気がついた。
「立派な花束ですね。」
そうでしょう?と得意げに看護師の人を見て、驚いた。
「あなた、13年前にもこの病院で私の世話をしてくれていたよね?」
「はい。覚えていただいていたなんて嬉しいです。」
「その時に私の隣の病室にいたお兄ちゃんから貰ったのよ。」
「久我様、でしたか?」
それを聞いて安心した。やっぱりあの時のお兄ちゃんは直樹さんで、今も変わらず優しくしてくれて。
「そうよ。」
私は力いっぱいに笑って見せた。私の自慢のお兄ちゃんで、婚約者。
(早くよくならなきゃ…)
沙夜香は布団を深く被りこんで眠りについた。

