「直樹さんが帰ってこない!?」

学園の休み時間。瑠璃子は驚いて叫んでいた。

あれから時間は流れて、また桜の木が緑に色づき始める5月がやってきた。

2人は高校2年になり、ついに瑠璃子にも専属執事が就いた。
瑠璃子の趣味には合わない年配の執事だったそうで、瑠璃子は毎日愚痴を零していた。

ある日の帰り沙夜香の恋模様を尋ねようとして、直樹が帰ってきていないことを知ったのだ。

「いくらなんでも研修で5ヶ月も屋敷を空けないでしょう。連絡は!?」

「メールはしたんだけど、全然返事が無くて。忙しいのかなって思ったからそれからはしてない。」

「寂しくないの?」

「寂しいよ。けど、お仕事だもの。」

瑠璃子はため息をついた。