『さようなら、お嬢様。』

「待って!」

沙夜香は見慣れた部屋で目を覚ました。隣には瑠璃子が、驚いた様子でこちらを見ていた。

(……夢?)

「悪い夢でも見た?汗だくだよ?」

目を擦りながら瑠璃子は沙夜香はまじまじと見た。

「直樹さんが…!」

は?と不思議そうな瑠璃子を置いて、部屋を飛び出した。

「誉さん…!」

朝食を並べていた誉に声をかけた。

「どうしかした?」

「…直樹さんは?」

「もう気づいちゃった?」

と笑いながら誉は沙夜香の頭を撫でた。