「誉。」

まだキッチンスペースで片付けをしていた誉に全てのわけを話した。

「とうとう、お前の父さんもお怒りか。」

最後の1枚のお皿を拭き終わってから、誉は直樹に向き直った。

「沙夜香ちゃんはどうするの?」

「…しばらく、海外へ研修に行くって伝えておいてくれ。」

はいはい。と誉は直樹を玄関まで見送った。

「帰ってくるんだろう?」

誉の問いに曖昧に笑って、直樹は玄関の扉を閉めた。

「さようなら、お嬢様。」

冬の、寒い満月の夜だった…