瑠璃子は目を輝かせながら沙夜香に問いただした。

「専属候補の一ノ瀬誉さんだよ。」

「前の人はどうしたのよ?」

「直樹さん?彼もまだこの屋敷にいるよ。」

そんな話をしながら飲んだ紅茶はハーブティーだった。ほんのりとカモミールの香りがして…

「この紅茶美味しいね!こんな紅茶入れてくれる執事が2人もいるなんて羨ましいなぁ。」

瑠璃子は楽しそうにその紅茶を飲んでいた。

「…そうかな?」

沙夜香は少し笑いながら返事をした。

今までの紅茶はローズティーだった。それは直樹が入れたから。とっても美味しくて。
瑠璃子には悪いけど、あの味は私しか知らない。
私と、私の家族と、直樹さんだけ。

そう思ったら自然と涙が出てきた。特に理由なんてなかった。ただ、好きだって感じたのかもしれない。