コンコン…

翌朝、誉はノックをして沙夜香の部屋の扉を開けた。
絨毯の上に倒れていた沙夜香を見つけて、誉は慌てて駆け寄った。

「おい!大丈夫か?」

額に手を当てる。

「…っ!熱が高い。」

沙夜香をベッドに寝かせて、侍医の柴田さんを呼んだ。

「酷い風邪じゃ。昨日何かあったかのぅ?」

昨日…?
言われて誉は考えた。
沙夜香は、昨日高等部になっての初めての授業があった。夕食の時にたまにラウンジへ行く約束をした。

そこでふと違和感を覚えた。

(昨日の夕食の時、沙夜香ちゃんは直樹と喋っていなかった…)