すると直樹はバックミラー越しに沙夜香を見て、ふわっと笑った。

「沙夜香様のご要望とあらば参りますよ。」

「じゃあ、迎えよろしくね!」

「かしこまりました。」

なんて事無い他愛のない話。それがとても楽しかった。帰りも2人で話が出来る。そう思うと沙夜香の心は高鳴っていった。


「それでは沙夜香様。行ってらっしゃいませ。」

屋敷を出て15分。学園に着いた。

リムジンの扉を開けて貰い、鞄を受け取る。

執事は校門の前までが原則。校内へのリムジンの乗り入れは余程の事がない限り許されない。

「行ってきます!」

沙夜香は今までとは違う特別な感覚に浸りながら校門をくぐった。