「…さま。…さやかさま…。沙夜香様?」

呼ばれて顔をあげると直樹さんがいた。

「何かお考え事ですか?」

そういってローズティーをくれる。

「昼食の前に、今朝届いた制服に袖を通してみましょう。明後日から学校がはじまります故。」

「わかった。」

返事をしながら、ローズティーを飲む。

そういえば、と沙夜香はカップを置いて直樹に尋ねた。

「どうして直樹さんは、私がローズティーが好きな事知ってたの?」

「お父様にお聞き致しました。小さい頃から大好きだったと。」

直樹はフワッと笑って、すっかり少なくなっていたティーカップにまたローズティを注いだ。

「パパったら、他に変なことを言ってないかしら?」

沙夜香は恥ずかしくなって、顔を真っ赤にしてカップを手に取った。