【短】桜の涙に恋焦がれ


「すみません」



 素直に謝って、わたしを解放してくれる。逆にわたしは柳瀬くんの腹にパンチをくれてやった。
 弱々しいそんなパンチ、効いてもいないらしくてキョトンとした顔で見つめてくる。



「見てなさいよ、柳瀬大樹!!」

「はあ」

「はあじゃない! 今からあなたはライバル。わたしが今に越えてみせるから。覚悟しなさいよ! わかった!?」



 多分、柳瀬くんが言った提案はいい話。
 柳瀬くんを越えたら上司連中の態度も少しは変わるかもしれない。だけどそれは、誤魔化してまでやりたくない。


 わたしは、自分の力であいつらを見返してやるんだから。



「やっと……」

「なに?」

「いつもの咲川さんらしくなりましたね」



 今度はわたしがぽかんとする番だった。
 いつものわたしって? どういうこと?