【短】桜の涙に恋焦がれ


「本当に大丈夫。わたしは辞めない。でも転職くらいは考えるかもね」



 少しだけ本音をもらす。いつもみたいに愚痴を言えない雰囲気で、だから元気だってことをアピールするだけにとどまる。



「ねえ、そろそろ解放してくれないかな」



 壁ドンならぬ桜ドンの状態のままで、さすがに窮屈になってきた。そもそもなぜ、わたしは桜ドンをされているんだろう。



「咲川さん、俺を利用しませんか?」

「ん……んん?」

「ですから、利用」

「いきなりの下僕発言に戸惑いを隠せないんだけど?」

「違います」



 柳瀬くんがまさかのジョークを言ったのかと思ったけど、そうではないらしい。



「短大卒って事実は変わらないです」

「うん、知ってる」



 今度はディスり始めたのか?
 さすがに愚痴を言いまくるわたしが嫌いになってきたかな。味方はいなくなったか。