あっちじゃなくて、俺のほう向いて。

「ほらほら、涙吹いて。」

「ん、ありがと。ほんと優しいね。」

「………別に、芽依ちゃんだけだよ。」

「えっ…?」

「あーも、なんでもない。ほらはやく。」


行くよ、と芳樹くんは私の手をぎゅっと握って引いた。