あっちじゃなくて、俺のほう向いて。

「…あとさ。」

「ん?」

「芽依ちゃんに、話したいことがあって。」

「話したいこと?」


急に芳樹くんが真剣な顔をするから

私もつられて背筋を伸ばした。


「…俺さ、あの時の電話、偶然きいちゃって…。」

「……あの時の?…あっ…。」


一瞬にして、自分の顔の筋肉が引きつったのがわかった。