あっちじゃなくて、俺のほう向いて。

私がなんて答えていいのかわからなくなっていることに気づいた百合ちゃんは

もーお母さん気が早いって、と笑った。


「あ、せっかくだからどら焼き一緒に食べようよ。」

「そうね。わーっ、美味しそう。」


ほらはやく芽依さんも座って、と促されて

私はベッド際の椅子に座った。

どら焼きを見て嬉しそうに笑うお母さんの顔を見て

やっぱり芳樹はお母さんに似てるなって、私はひとり心の中で思った。