あっちじゃなくて、俺のほう向いて。

芳樹には、いっつもペースを乱されてばかりだ。

でも、それが嫌なわけじゃなくて、なぜか嬉しくて

そーゆーところも含めて芳樹が好きだから、余計に悔しい。


「んじゃ、ちょっと行ってくるね。」

「うん、気をつけてね。」

「ん。あ、待って、忘れ物した。」


1度背を向けた芳樹は、そう言って振り返る。

なにか取ってこようか?という私に

ごめん嘘、とキスをした。