あっちじゃなくて、俺のほう向いて。

「………はい、オレンジジュース。」

「…さんきゅ。」


病院の外まで出ると

芳樹はやっと、歩いていた足をとめた。


「…ゆっくりでいいんだよ、きっと。」

「……うん。」

「2年間も会いに行けなかったのに、今日はちゃんと会えた。顔を見て話もできた。それで充分だと私は思う。」


よく頑張りました、私が笑うと

芳樹はぎゅっと私を抱きしめた。