あっちじゃなくて、俺のほう向いて。

「あっ、芳樹っ…!」


百合ちゃんと一緒に病室の外にある椅子に座っていると

少し疲れた顔で、芳樹が出てきた。


「百合、あと頼んだわ。」

「ちょ、よしくん…。」


芳樹は何も言わずに私の腕を掴んで

そのまま廊下をまっすぐ歩き出した。