あっちじゃなくて、俺のほう向いて。

「…なんで、私に連絡してきたの。」

「…あいつ、今日の夜まで母親のほうの実家に帰ってるらしくてさ。つか、あいつになんか言えるかよ、すげえ心配するだろうし。」

「…わかった、すぐ行くから。」


私は電話を切って、自分の部屋から服と財布だけ持って家を出た。