ここは某所、お洒落なイタリアン。

私はお手洗いの鏡の前で、化粧直しに余念がなかった。

「ねえ、秋香。今日のお相手は、どこの社長?」

「任せて。某一流メーカーよ。」

「本当に?」

驚きのあまり、リップが唇からはみ出そうだ。

「と言っても、下請けだけどね。」

「いや、それでもいい!社長さんだったら。」

私と同期の秋香は、鼻息荒く頷いて、お手洗いを後にした。


フロアに行くと、スーツを着た男性が、秋香に向かって手を挙げた。

「お待たせしました。」

秋香も手を挙げて、応える。

一緒に座っている人も、なかなかカッコいい。


「いいじゃない、秋香。」

「でしょう?イケメン社長なんて、滅多にないわよ。気合入れて、夏海。」