私立桜蘭学園。
五校の桜学園の一校。

一番古い学園は213年前に造られた私立百花桜学園。

そこの学園は勉強、運動、芸術・・・。
何が出来ても評価されない。
必要なのは『嘘』。
嘘、ポーカーフェイ、読心術。

クラスはそれによって決まり、社会に出た時のランクも、それによって決まる。
私立百花桜学園を卒業したという事だけでも、社会に出た時のランクは上の方だというのに、クラスが上だと、より上のランクになる。

うちは嘘を吐くのが下手だし、すぐに感情が顔に出る。
人の思考もよく分からない。
それだけでもうちはその学園に入れない。

でもうちが、私立百花桜学園を諦めた最大の理由は、その学園がアメリカにあるからだ。


二校目は私立桜才学園。
203年前に造られた学園。

そこは、才能がある人しか入れない。
才能があれば入れる。
どのような才能かは問われない。
飛び抜けて凄い才能であれば何でもいい。

だが、その学園は完全にスカウト制。
受験、面接など関係など一切関係関係なく、スカウトさんがスカウトした人だけに限られている。
つまり、私立桜才学園に入る手段はスカウトされるしかない。

大きな賞を取った。大きな大会で優勝した。
そんなんやない。
スカウトさんが何を基準としてスカウトしているかは分からない。

この学園を卒業した一生才能で生きていける。
生きている限り、お金を支援される。

だけど、うちにはそんな才能、無い。


三校目は193前に造られた桜音学園。
この学園、は音楽の専門校。

今までに数々の素晴らしい音楽家達がこの学園を卒業して来た。
凄い賞を取ったり、大きな大会で優勝したら入る事が出来る。

うちは小学生の頃から中学生まで、ピアノを習い続けて来た。
だけどうちには、無理だ。
うちは特別上手い訳でも無いから。
うちはただ、弾けるだけだ。

それ以前に、この学園はとてもお金が掛かる。
一年に数千万、数億というそんな莫大なお金が。
より上に行く事を望むのであれば、もっと、より多くのお金をつぎ込まなければいけない。

そんなお金、とてもでは無いが、うちには用意出来ない。


三校目は193前に造られた桜音学園。
この学園、は音楽の専門校。

今までに数々の素晴らしい音楽家達がこの学園を卒業して来た。
凄い賞を取ったり、大きな大会で優勝したら入る事が出来る。

うちは小学生の頃から中学生まで、ピアノを習い続けて来た。
だけどうちには、無理だ。
うちは特別上手い訳でも無いから。
うちはただ、弾けるだけだ。

それ以前に、この学園はとてもお金が掛かる。
一年に数千万、数億というそんな莫大なお金が。
より上に行く事を望むのであれば、もっと、より多くのお金をつぎ込まなければいけない。

そんなお金、とてもでは無いがうちには用意出来ない。


四校目が183年前に造られた桜花学園。
その学園は勉強さえ出来れば良い。

だがその学園は勉強のレベルが半端じゃ無い。

その学園にいるトップの頭の人達は、全教科満点や1問違うだけという、とても人間技じゃ無い点数を、入学当時から叩き出して来ている。
しかも、テスト勉強や毎日の復習などをしてないのに。
授業に出ていない人でもそんな様な点数らしい。
いや、授業に出ていない人の方がより、人間らしく無い点数を叩き出しているそうだ。
そこまでいくと気持ち悪いくらいだ。

偉そうな事を言っているけど、うちにはとても無理がある学園だ。

だってうちは、平均点ですら取った事が無いんだから。
うちは勉強が出来へん。
凄く苦手や。

だから、学園の方がうちの事お断りなんやろう。

次に五校目の、この桜蘭学園。
この学園は73年前に造られた。

この学園は、明日世界を背負う事になるかも知れないグループの跡継ぎや、その血筋が通う学園。
つまり、お金持ちの集う学園や。
この学園は肩書きとお金さえあれば入れる。

うちの家は小さい会社を経営しとった。
目立った大掛かりな仕事は無かったが、コツコツと小さな仕事をこなしてきた会社やった。

でも買収された。
世界に名を轟かす薙切グループに。
凄く恨んだ。
憎かった。
会社が無くなってしまったら、桜蘭学園に入る事が出来無い。
最も、あんな会社、肩書きにもなれず入れないんやろうけど。

でも、うちは諦め無んかった。
お金さえあれば、肩書きが無くても入れるかもしれん。
うちはその時中一やった。
バイトが出来ない歳やった。
だけどうちは、年齢を誤魔化してバイトした。
当時通っていた中学校を、ほとんどサボってバイトした。

勿論、それだけじゃ全然足りへん。

だから、もっと年齢を偽って、夜の仕事だってした。
パパ活だってした。
なのに足りへん。
誘われたら、身体だって売った。

それでも学園には一年、いや、半年ですら留まっている事が出来ん。
うちの三年間頑張って貯めたお金は所詮、桜蘭学園にとったら取るに取らない物やろう。
あんなに頑張ったのに半年もいれん。

うちの記憶は、中学の卒業式の日で途絶えてとる。

気が付いたら病院で、依恋達がうちの寝ている隣のベッドに腰掛けて、泣いとった。
感情を余り表に出さない叶夜までもが顔をぐちゃぐちゃにして、泣いとった。

これはその時の話や。