高校2年生の春休み最後の日。
私は学校の廊下の窓を開け放ち、レールに腕を乗せてもたれかかる。
見上げる空には青い月が浮かんでいる。
明け方の月が青いのは、太陽の青い光が月にぶつかるかららしい。
相変わらず地味で今にも快晴の空に溶けていきそうだ。
それでも空の青に溶ける事なく浮かび続けられるのは、太陽のおかげなのだ。
明け方の青い月は、光る事も、綺麗でもない。
太陽が無いと自らの存在を示す事も出来ない。
けれど太陽は月を見放さないし、月は太陽無しではいられない。
月は太陽の力を借りながらも月にしか無い美しさを持っている。
そしていつかは、自分で光り輝ける美しい月になる。
今ならそう思える。
「一瀬美月!」
後ろで懐かしい声がする。
突然やってくる朝日の様な人。
私の心を震わせる声。
あの日私の心を虜にした、不思議な瞳の持ち主。
期待が高まる。
心が躍る。
声の方へ振り返った。
「朝日、陽」
息を呑む。
私が恋した人を引き込む不思議な瞳。
「俺と、生徒会をしよう」
私は答えかけ、止める。
そして、迷いなく答えた。


