2日後――――

チュンチュン

雀たちが活発に鳴いている。
よく晴れた気持ちのよい朝だ。
前日深酒をして二日酔いにさえなっていなければの話だが。

頭がグワングワンするのを無視して、なんとか起き上がる。
あー、まだ完全に酔ってる。

ふらふらと某井戸から出てくる幽霊のような雰囲気で布団から這い出ると白い服ではなく何故か全裸だった。
昨日着ていたはずの服が目の前の床に散らばっている。
自分のだらしなさに呆れて、まるで他人事のように「うわー、汚な」と一人呟く。

テーブルの上は空の缶ビールやら酎ハイやらの缶が並んでいて宅飲みの痕跡が残っていた。
嘘でしょ。飲み会のあと一人で晩酌までしてるの?
この量は尋常じゃない。
よっぽど嫌なことでもあったのだろうか。

部屋を片付けている暇はないので、とにかく今日も会社に行く準備をする。
寝る前にお風呂にはちゃんと入っていたようで、汗臭くなくて安心した←酒臭さはあるが

しっかり寝坊しているので雑に髪の毛を整えると、薄化粧に眼鏡を装備し10分で準備は完了した。
家を出る前に洗濯物だけ洗濯機に突っ込んで出ようと思い衣類を拾っていると、見慣れないネクタイが落ちていた。

おや?
ネクタイ?

女子はネクタイはしないので当然私のものではない。
なんでここにこんなものが……?
寝起きとアルコールのせいで頭がうまく働かない。
ただただ呆然とネクタイを見つめ、キョロキョロと無駄に辺りを見回す。
視界の端に映った時計の針はいつも家を出る時間をとっくに過ぎた時刻を刻んでいた。

ヤバイ!
急いで鞄を掴むと、走って最寄りの駅へと向かう。
左手にはネクタイを握りしめたまま。

『あ』

私は鞄に紺色のネクタイを押込み、私自身は満員電車に押し込められる。
間に合ったのは良かったが就業時間丁度の出社になってしまった。

当然ではあるがうちの部署では私が最後の出社のようだ。