お金を騙し盗られたわけではないし、きちんとした形で付き合ったわけでもない。

この状況を名付けるなら、結婚詐欺未遂ってとこだろうか。

認めたくはないけれど、惹かれ始めていたのは事実だから、私は失恋したのだろう。

イマイチ納得は出来ないけど。

そんなことをぼんやりと思いながら、何杯目かも定かでないカクテルを流し込むように飲んだ。

「ちょっと律華!?飲み過ぎよ!」

なんだかフワフワとして気持ちがいい。

蓉子さんの顔が二重に見えてきた。

「えーっ!私、まだ飲みますぅ~」

楽しくなってきて、ついついニヤニヤした顔になってしまう。