さすがは弁護士。

私がどう足掻いたところで勝てる相手ではない。

「わかりました」

根負けした私は西条先生のお誘いを受け入れた。

最後の足掻きで残業でもしようかと考えていたのに、それを見透かすかのように定時と同時に連行されてしまった。

「西条先生、暇なんですか?」

「おかげさまで毎日忙しいよ」

なに、その余裕の表情は。

西条先生はお酒に強いのか、すでに5杯目のビールを飲んでいる。

今日は絶対酔うものかと、私は1杯目をチビチビ飲んでいる。

「私と飲んで楽しいですか?先生なら選り取りみどりでしょう?なにも私を誘わなくてもいいのに」

「確かに肩書き目当てで寄ってくる人もいるけど、そういうのは不快だね。言っとくけど、しばらく誰とも付き合ってないから。遊びもしてない」