〜修也side〜




なんだよ…それっ…。




『姫をやめる』




突きつけられた。言葉の剣を。…迷いのない眼で美月は俺を見ていた。嘘は…なかった。…姫をやめたいといった美月は…次といった。

それはどういう意味なのか、わからなかったけど、ひとつ分かったのは…美月は月龍にいて、月龍に関わって苦痛だったということなんだろう。



つらくて、苦しくて、涙がでた。

拭うことをせずただ流させていた涙はさっき落としたパンの上にポタポタと落ちていた。



修「…っ」








俺は、美月のことがすきだった。








それに気づいたのは今、去っていく美月の背中を見てから。


『行くな』


『待ってくれ』


『頼む』


喉から出そうな言葉は出てこない。













修「美月…っ……」



嗚咽と共に出てくるのは、愛する人の名前だった。