美「しますよ」



奈「美月?!!」



横から口をはさんだ私を、財前家の現当主がじっとみる。


財前「誰かね」



美「…無礼をお許しください。…私は陸の友人です。」



財前「へぇ、陸に友人ね」



この人は、陸のことを何も知らない。知ろうとしてないんだ!



美「陸にとって得をするか?…そりゃぁ得しているでしょう」



財前「そうかい?」


美「はい。私なんかと比べ物にならないくらい、大切な仲間がいる学校です!…彼が大切に思っているみんながいる学校です!!」



財前「へぇ、月龍という族のことか?」



知ってるんだ。族のこと。



美「たしかに、族というのは良い印象はもたれないかも知れません。でも、だからって悪いやらって決めつけるには早いんです!!…陸にとってそこはなくてはならないものなんです!!」



千「美月先輩…」



美「陸は無愛想でちょっと冷たいけど、そんな仲間のことを大切に思っているのは一目瞭然です!!彼らといる時間は陸にとって大切なんです!!その時間を奪わないでください!!」



財前「君は、さっきからメイドのくせによくしゃべるな」



美「罰ならいくらでもうけます!!…だからっ…陸がもしまだあの学校にいたいといったなら!!……まだ…あの場所にいたいというならば……。お願いします!!通わせてあげてください!!」



私はガバッと頭をさげた。…結構な声の大きさだったので、周りからはジロジロ見られている。でもそんなの関係ない。



財前「この私に意見しようって?」



ブワッと殺気がでた。…でも、そんなの私にはきかないし、きいたとしてもひかない。



財前「……らしいよ、陸。どうする?」



美「え…?」



人だかりの向こうには歩いてくる陸の姿。