私は仙道くんのスーツの袖を引っ張った。

「仙道くん、仙道くんが私のことを好きってみんな知ってたの?」

「あぁ、当の本人以外、みんなにバレてた」

「嘘…」

「ちなみに課のみんなにもバレてる」

「えっ!?ってことは課長にも!?」

「勿論」

私って、そんな鈍感だったの!?

同期だけじゃなく、課のみんなも知ってたなんて。

頭を抱えて項垂れた私を見て、みんな笑っている。

「奏子はアイツしか見てなかったってことだろ。奏子は一途だからな。今は俺しか見てないだろ?」

「それは勿論」

即答した私を見て、仙道くんは嬉しそうに笑っている。

「俺も奏子しか見てない」

「仙道くん」

「あーっ、熱いなー!店員さーん、冷房強めてくださーい」

「仙道ってこんなキャラだったっけ?」

「頭のネジ何本か、どっかに置き忘れたんじゃね?」

「恋愛バカはほっといて飲もう!」