そのおかげで破水も一旦ストップしていたようだ。


「美希ちゃん、もうね我慢しなくていいわ! お母さん偉かったわね! 次痛みが来たら、いきみましょう。もう赤ちゃん、頭みえてるからね!」


そう言った私の言葉に太一さんはあたふたとし始めて、透悟さんは私が取り上げたあとの処置のための道具をしっかり準備して待機していた。


「はい、この紐掴んで、痛みが来たらいきんで!」


NSTを取り付けて、波形を見守りつつ声をかける。


「はい、ここ! いきんで!」


「んーー!!!」


「まだいける? もう一回!」


「無理!」


「じゃあ、休んで。しっかり息を吸って吐いて、呼吸しっかりね!」
「はい、来たよ! いきんで!」


「んーー!! あぁぁぁ!!!」


「ほら、叫んだら力逃げちゃうよ! もう一回、おへそ見てね!」


「んーー!!」


「よし、いいよ! あともう少しで出てくるよ!」


「はいぃ!」
「ほら、いきんで!」
「んーーーー!!!」


「ふぎゃー!」


「美希ちゃん、もういきまないで! 短い呼吸でハッハッハっで!」
「ハッハッハっ…」


頭の出たところで次の波でスルッと出てきたのは、可愛らしい男の子。


「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」


そう告げると美希ちゃんと太一さんは、互いを見やって泣きながら笑っていた。