「河野美希さんですね。今日から担当医になります西澤です。よろしくお願いします」


そうにこやかに話し出した先生に、美希ちゃんは高めのテンションで返事をしている。


「よろしくお願いします! いやー、先生イケメンね! 噂には聞いてたんだけど、ここまでとは思ってなかった!」


美希ちゃんがあけっけらかんと言い放った言葉に、クスッと笑いながら先生が聞き返す。


「あれ、俺そんなに話題になってる?」


「少し憂いのあるイケメン先生が来たって、若い世代もジジババ世代にも人気で噂はすぐ駆け巡ったわよ!」


そんな切り返しに、先生はにこやかに返していた。


「はは、ありがたいねぇ。さぁ、エコーで赤ちゃんの様子見ようね」


エコー用のジェルの上から腹部エコーを当てると、赤ちゃんが白黒画像で見えてきた。
元気そうだし、ちゃんと前回より大きくなっていて順調そう。


「そういえば、性別は知りたの?」


西澤先生はエコーを見ながら美希ちゃんに聞く。


「はい! グッズ揃えるのに知りたいと思ってて」


ニコニコと嬉しそうに答える美希ちゃん。


「じゃあ、今日の向きなら見えるかも。ちょっと見てみるね?」


そう言って先生はエコーをぐりっと動かすと、見えた。
側で見ていた私で分かったなら、先生も分かっただろう。


「見えたよ。これは9割男の子だね!」


そう、エコーにはしっかり男の子の部分が見えていた。