初めてのランチから数日も経たないうちに、織田マリコと近藤咲良は親密に付き合うようになった。

マリコはハードルの高いプレゼンテーションを部下の多田貴彦と共に、グループ会社9社の関係者の前で完璧に披露し、来期の昇進を確実なものにした。

貴彦自身も上司の補佐役として経験できた全てを今後に活かせる自信にもなった。

無事完了したプレゼンのお祝いデートとなった週末、咲良のマンションに上がり込んだマリコは、LED菜園なるものをひとしきり眺めながら、翌朝みずみずしいサラダを二人でつつき合って食べる光景を頭に描いた。

「咲良、本当に私でいいの?」

「マリさん、今更それを言うの?」

スーツの上着をお互いに脱がし合い、ワイシャツとブラウス姿で抱き合った。

咲良はマリコの頭をふんわり腕の中に包み込むように自分の肩に寄せた。

「ワイシャツにファンデが付いちゃう。」

「へえ、そんなことを気にするヤツだったんだ?」

「咲良は気にならないの?」

「俺はならない。あとでゆっくりメイクすればいいしね。」

「くすくす。」

マリコはくすぐったいような気持ちでいた。

「なんで、そこで笑うの?」

咲良はマリコにたっぶりとキスした。

「ちょっと、咲良、キス濃いって。」

「イヤなの?」

マリコは目で笑って答えた。

「そんなこと言う口はこうするしかないね。」

「んぐぐ。」

さっき以上に情熱的なキスで咲良はマリコの口を塞いで黙らせた。

マリコは酸欠になりそうで、言ったことを後悔した。