「奇跡だ。」と言う上機嫌の咲良を慎二は冷ややかに眺めた。

「恋多きなんとか?」

「なんとでも言ってよ。慎二くん。」

「樹里ちゃんはどうしてるんだよ?」

「彼女はヤツと上手くいってるよ。」

「はあ?」

眉間にしわをよせる慎二に反して咲良は上昇気流だ。

「慎二、聞いてよ。俺は年上に弱かったんだ。」

「あっそ、あとで凹むなよ。」

彼は首を振りながらその場を去った。

咲良の想いはすでにランチタイムだ。

幸せすぎてヤバい。

ランチの候補も完璧に決まっていた。

よし。

チーフ宛てのショートメールも丁寧な文を連ね、文字数に制限があることはこの際気にしている場合ではないとし、頭をフル回転させて短文明瞭な1本を送信した。