金曜日の夜のことだ。

「うそ?」

咲良はスマホの画面を凝視した。

「アイツだ。」

慎二が送ってきた画像には、アイツが彼女と仲良さげにカウンター席に並んで座っていた。

慎二からまた着信があった。

「ヤツだ。たまたま同じ店に来た。やっぱり社内恋愛かもな?」

咲良は左手に持ったスマホをにらみながら、右手で手元のグラスを引き寄せてグイとあおり、温厚な普段からは想像もつかないような悪態を立て続けに吐いた。

「クソッ。なにがモデルだ。バカヤロ。」

さらにジンをボトルごと手にして

ぐいぐい喉に流し込んではムセて咳き込む有り様だ。

そのまま悪酔いで夜が更けた。