週末咲良は早くも春に向けて果実酒なるものにハマっていた。

スーパーにカリフォルニア産のレモンが大量に出回るのを待ちかね、先週末に用意しておいた2リットルのガラスの保存容器を3個テーブルに並べ、午前中に買ってきたレモン15個をひたすら皮をむいてカットした。

あとは氷砂糖とホワイトリカーを容器に注ぐだけだ。

このレモン果実酒は1ヶ月後には飲むことができるが、3ヶ月後までじっくりとレモンを浸しておけるため、徐々に味が濃くなるというあんばいだ。

炭酸水やジンで割り、食後にゆっくり飲む。

サッパリとしたのど越しと、クールな気分とで一日の疲れが癒されるという具合だ。

咲良は彼女と二人でこんなひとときを過ごせるのを夢見て、ジンを炭酸水で割ったグラスを掲げた。

「うまいな。」

スマホが点滅した。

慎二からだ。

こんな時間に珍しいな。

「添付を見ろ。」とだけだ。