「日本史の小テストでさー、点数悪かったから再テストって呼ばれてたんだけど、昨日は体育館オールコートで練習できる日だったから早く部活行かなきゃって思ってたらテストのことすっかり忘れてて」

「もー、ほんと優海は部活バカなんだから。あんた学校に部活しに来てるんじゃないの?」

「えっ、そうだけど?」

「いやいや、学校は勉強するところだから!」

「あ、そういうことね。勉強もするって、あはは」

いつもならここで笑い合って終わりだけれど、これからはそういうわけにはいかない。

私は表情を引き締めて優海を見た。

「あんたが部活好きなのは分かるけど、そればっかりってわけにもいかないからね。はい、じゃあ今から再テストの勉強!」

「え~、朝っぱらから嫌だー。休み時間にするって!」

「とか言ってどうせまたすぐ忘れるんでしょ。はい、教科書出して」

優海はしぶしぶ日本史の教科書を開く。

かわいそうだけれど、これからはスパルタで行くと決めたのだ。

だって、もう、時間がない。

「もうすぐ期末テストだよ? 赤点が一教科でもあったら夏休みの試合に出してもらえないんでしょ?」

「あー、うん、そうなんだよ……高校の部活って厳しいよなあ」