先生と優海のやりとりを聞いて、真梨が目を丸くして私を見た。

「すごーい凪沙、大当たり、ほんとに予想通りだよ! びっくり。すごいねえ、さすが」

私はあははと笑って答える。

「だてに十年幼馴染やってないからね」
「そっかあ。それにプラス三年カレカノだもんね」
「まあね。そう考えたら長い付き合いだよね、本当に」

私が鳥浦に引っ越してきて幼馴染になってから十年ちょっと。

付き合い始めてからもうすぐ三年。

でも、恋人になる前の七年間には、一緒に過ごさなかった時期もあった。

そのことは高校の同級生たちには言っていないし、これからも言わない。

優海の小学生時代からの知り合いは知っていることだけれど、みんなあえてそのことについては何も言わずにいてくれている。

だって、優海は顔にも口にも出さないけれど、絶対に触れられたくないことだろうから。

だから、私も何も言わない。

私と優海は、幼い頃から七年間、いちばん仲の良い幼馴染で、どこに行くにも何をするにも一緒で、片時も離れずずっと共に過ごしていて、中学一年のときに付き合い始めた。

そういうことにしている。

「じゃ、分かったか。昼休み、絶対来いよ」

先生の言葉で、はっと我に返る。

ごめんなさーい、と謝りながら先生を見送った優海がこちらへ戻ってきた。

「凪沙ー! またやっちゃった」

私に怒られるのが分かっていて、素直に報告に来るのが面白い。