「ま、黒田くんに迷惑かけないように、私ができるかぎり鍛えるけどね!」

すると、これまで黙って私たちの会話を聞いていた優海が面白くなさそうにむくれた顔をした。

「なんだよー、二人とも。面倒とか迷惑とかさあ。子ども扱いすんなよー」
「そう思うなら自分でちゃんとしなさい。忘れ物ばっかりしてる優海が悪い!」
「そうそう」
「……まあ、そうだな。俺が悪いな」

素直、と黒田くんが笑う。私もおかしくなって笑った。

それから、気を取り直して背筋をぴんと伸ばす。

そして優海に向かって宣言した。

「ていうかね、私決めた。これから優海のことビシバシ鍛えることにしたから」
「えっ、どういうこと?」

優海がきょとんとこちらを見る。

「優海ったら頭の中部活のことばっかりで、それ以外のことすぐ忘れちゃうし手抜くでしょ。もう高校生なんだから、そんなんじゃこれから困るから、自分のことは自分でできるように鍛えるの!」
「えー……」