立てた膝を両手で抱えて顔を埋めていると、考えたらいけないと思うのに、どうしても優海の顔が浮かんできた。

『断ったんだって』

真梨が耳許にささやいた言葉が、まざまざと甦ってくる。

『きっとまだ凪沙のことが……』

頭を抱えて必死にかき消そうとするけれど、なかなか忘れることができない。

自分の気持ちを直視せざるを得なかった。

優海が美紅ちゃんの告白を断ったと知って、喜んでしまっている自分の気持ちを。

「……だめだって言ってんのに……バカじゃないの、私……」

自分でそう仕向けておいて、失敗したと知って喜ぶなんて、あまりの性格の悪さに自分でも引くくらいだ。

美紅ちゃんに申し訳なさすぎて、どうすればいいか分からない。

それでも、喜んでいる自分がいるのは確かだった。それはどうしても変えられない。

「ほんっと最低だな……」

ふ、と自嘲的な笑みが洩れた。

膝に額を強く押しつけて、唇を噛む。

頭はがんがん鳴っていて、自己嫌悪が込みあげてきて、最悪な気分に襲われていた、そのときだった。