「それは…当たり前だから」
2人で歩く帰り道はいつもより綺麗に見えた。

「あ、着いたよ。駅」
「うん、ありがとう。勉強…」
「全然、じゃあ、明日も。さよなら」
「さ、さよなら」
そう言ってイヤフォンを返される。
手のひらに乗せたイヤフォンからはかすかに曲が聞こえる。
曲を止めて、電車に乗って、また曲をかける

「ただいま」
「おかえり〜」
おっとりしたお母さんの声が聞こえる。
「あぁ、疲れた」
制服のまま、リビングのソファに腰を下ろす
「こら、女の子がみっともない」
「いいの、いいの。誰も知らない人いないし…」
「そういうことじゃない。これあげるから早く部屋行きなさい」
そう言って夕ご飯の唐揚げを口に入れられる。
「あっつ!」
「ほらほら」
「はーい。あ、唐揚げ美味しいよ」
「知ってる」
たわいない会話をして自室に入る。
部屋着に着替えて、ベッドにダイブする。
眠くなって、布団に潜る。
白井くん…。
良い人だったなぁ…。
最後にそう思って…右耳だけにイヤフォンを入れて音楽を流す。
あのラブソングを聞いて寝る。
それが最近の日課。