砂糖より甘くコーヒーより苦く

男の人の声が聞こえた。

あたしはゆっくり顔を上げた。

「あなたは、誰ですか?」

あたしがそう言うと、驚き顔になった。

そして、あたしの手を握り、

「美緒、本当に分かんねぇの?」

と、聞いてきた。

あたしを見つめるその顔は、“嘘だと言ってほしい”と思っている顔だった。

だけど……

ーーコクッ

あたしは静かに頷いた。

いや、頷くしかなかった。

男の人は、その場に座り込んだ。

「んでっ……クソッ……」

静かにそう言った。