砂糖より甘くコーヒーより苦く

《美緒STORY》

時間は過ぎ、あたしは晴斗が待っている昇降口に行こうとしていた。

「忘れ物はないね……」

「桜井さん」

「……!」

あたしの名前を呼んだのは、大原さんだった。

「ちょっと、いいかしら?」

あたしは頷いた。

「じゃあこっち」

大原さんは歩き出した。

晴斗、もうしばらく待って……

着いたのは階段の踊り場。

いやてか、踊り場モテモテだねぇ!

「あんたさぁ」

「……!?」

大原さんの声が、変わった。

「本当は喋れるんじゃないの?」

ーーブンブン

あたしは焦って首を振った。

「嘘つかないでよ!!あんた、本当に高木さんが好きなの?」

あたしは、縦に首を振った。

「フンッ……高木さんに似合う女はこのあたしよ!!だからさ、死んで?」

「……!」

だんだん近づいてきた。

ーーザッ

「……!」

ヤバい!!これ以上下がったら堕ちる!!

「死んで?」

あたしは首を横に振った。

「チッ……死ねつってんだよ!!」

ーードンッ

「……!」