《晴斗STORY》

ったく、んだよ幸の奴。

人の顔見りゃ、夫婦って言いやがって。

ーーなにあの子。めっちゃイケメンくんのそばにいるんだけど。

「……っ!」

「……!」

美緒の顔が曇った。そして、俺から離れ、席に着いた。

幸のせいだ!!

「ん?美緒ちゃん?」

「幸が余計なこと言うからぁ!」

「は?」

んだよその、間抜けヅラはよぉ!

その顔は美緒だけで十分だっつーの!!

「美緒はなぁ!!……だーもうっ!!いいっ!!」

「おいおい、最後まで言えよなぁ?」

幸の声が聞こえたけど、とりあえず無視。

美緒お前、俺を避けたようだけど、残念でした。

席はお前の後ろなんだよな~。

俺は席に着くなり、

「美緒~……弁当忘れた~」

「……!?」

一瞬驚いた美緒。だがーー

「はっ?」

努めてクールに接する美緒。

くぅ~……可愛すぎる……

「少し分けてくれよ~」

「……」

なにも言わない。

うん?

なにも言わないぃ?

無視するとかヒドッ!

これならどうだぁ!!

「分けてください!」

「仕方ないな~……少しだけよ……」

そう言ってくれた。

「さっすが美緒!おばさんに似て、優しいなぁ!」

あからさまに顔が赤くなる美緒。

可愛いお姫様。

俺だけのモノにしたいなーー

《晴斗STORY END》