あたし達は、毎日晴斗のところに行った。

そして、手術する前の日。

5時30分ーー

「美緒、そろそろ帰れ」

「えっ」

「こんな時間に女の子が1人で出歩いちゃダメだ。だから、帰れ」

「ーー……うん……」

仕方なく頷いたあたし。

「じゃあ、ね……また、ね……」

ヤバい……また涙が……

「美緒、笑って」

「……っ!」

あたしは、微笑んだ。

「また、明日、ね……」

「ああ、また明日」

「じゃあ、ね……」

ーーチュッ

“さようなら”の意味のキスをして、あたしは、泣きながら病室を、病院をあとにした。

今日交わした、砂糖より甘く、コーヒーより苦いキスを、しっかり噛みしめてーー

《美緒STORY END》