砂糖より甘くコーヒーより苦く

「ハア……ハア……」

「……!」

静かに、息を吐いた晴斗。

息切れしている。

「大丈夫か、晴斗?」

「え……大丈夫だよ」

「でも、息切れしてるし」

「疲れるからね……かなり、ヤバいよ……」

晴斗の言葉遣いが、クールとは違う、カッコつけの言葉じゃなくなった。

「金曜、手術なんだって?」

「……ああ……」

ーーギュッ

晴斗は手を握り、おでこにつけた。

「正直言って、怖い……確かに、50%で高いだろ?でも、0%みたいで、怖いんだ……怖くて、辛くて……美緒と、会えなくなっちゃうんじゃないかって……美緒にも、我慢させてしまうし……美緒も辛いはずなのにっ……俺も辛いって思われてっ……泣くのは、俺の前じゃないところでってっ……」

ーーポタポタ

晴斗は、泣きだした。

「美緒が我慢してるのは分かってるっ……美緒が泣きたいのもっ……美緒は人を優先させてしまう癖があるからっ……自分が我慢してっ……そうすれば、俺も、人も、困らなくて済むとか思ってるんだっ……美緒は、自分を抑えてるっ……この前だって、美緒は1人で大丈夫とか言ってっ……でも、我慢してるんだっ……」

「お前もな」

「……!!」

「晴斗もさ、自分を抑えてるだろ」

「え……」

「だってそうだろ?陰で泣いてさ。美緒と一緒に泣けばいいのを、美緒がいねぇところで泣いたり」

「どうすればいいんだよっ……分かんねぇよっ……」

「正直になればいいんだよ。泣きたい時は泣く。笑いたい時は笑う。そうすればいいんだよ」