砂糖より甘くコーヒーより苦く

「うっ、うっ……」

「美緒……」

「いじめられるのもあたし……こんな思いするのもあたし……なにもかもあたしっ……」

心の中で思っていたことを、全て吐き出した。

「どうしてあたしなのよっ……なんでっ……晴斗のあの言葉聞いたらっ……辛いよっ……晴斗が可哀想だよっ……」

「美緒」

胡桃ちゃんがあたしを呼んだけど、次々に口から洩れた。

「なんで晴斗なのよっ……どうしてっ……」

「美緒っ」

「あんな姿っ……可哀想だよっ……晴斗がっ……」

「美緒!!」

「……!!」

胡桃ちゃんが、初めてあたしに怒った。

「美緒、あんたがそんなんでどうすんのよ!!晴斗くんは確かに可哀想だよ!?辛いと思うよ!?不安だと思うよ!?でもその辛さを!!不安さを!!美緒が、みんなが!!少しでも楽に!!安心にさせるの!!」

「……」

ーーポタポタ

「あたしも、幸も、美緒も……おじさんやおばさんも……みんながいるの……だから、晴斗くんを……」

「……わーっ、わーっ!!」

「グスッ……」

ーーギュッ

あたしは、弱い人間だ。晴斗がいないだけで泣いてばかりで……

胡桃ちゃんが言ったことは、正論だった。そんなことも分からなかったなんて……

「美緒、胡桃、行こ」

「うん。美緒、行こ」

「ハアッ……グスッ……うん……」