砂糖より甘くコーヒーより苦く

「だって……手術しないと、晴斗苦しくなるし、死んじゃうんでしょ……?だったら、手術してよ……」

「……っ!」

「手術して?」

こんなこと言われちゃ、答えは1つだけだよ……

「……ああ」

「あたし、1人でも大丈夫だよ?だから晴斗は、安心して?ビョーキ治ったら、また一緒に、遊ぼ?遊んだり……」

美緒は言葉を切り、俯いた。

なに我慢してんだよ……泣きてぇんだろ……?

「くっ……」

ーーギュッ

「……っ!」

「バカだなぁ、美緒は……大丈夫じゃねぇだろ……無理すんな……無理してると俺、安心出来ねぇよ……?」

こんな美緒を置いて、死ねねぇよ……

安心して、手術うけれねぇよ……

だからな、美緒……無理して泣くの我慢すんな……めいいっぱい泣け……

「晴斗っ……」

ーーギュッ

美緒の小さな手は、俺のシャツを掴んだ。

たくさん泣け……俺の腕の中で……

だって、これで、手術の日までの間が、最後かもしれねぇんだからーー

「うっ、うっ……」

ちっせーな、美緒は……どんだけちっせーんだよ……

死んだら俺、美緒のこの温もりも、なにもかも、感じることは出来ねぇんだな……

だったらーー

「俺、死にたくねぇよ……」